西大阪線あこがれぷらっとホーム楽会 街と街、人と人、関西の未来にもつながる西大阪線
 
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この人に聞く あこがれぷらっとホーム楽会インタビュー
研究会では、様々な方面でご活躍の方々をゲストに招いて、沿線のまちづくりの夢を語りあっています。
ここでは、そんな研究会活動の一部をご紹介したいと思います。
vol.3
素顔の大阪・下町の魅力をいちびり精神で発信するツアーをプロデュース
◇「来てくれ!阪神電車」 わがまち再興にかける熱い想いから
谷口 靖弘さん(大阪・九条下町ツアー主宰、大阪芸術大学短期大学部教授)
 阪神なんば線が建設中の九条のまちなかを巡るツアーを主宰して今年で11年目を迎え、お陰様でこれまで修学旅行生や外国人を含め4000人以上を、わがまちに案内してきたことになります。
 そこで、私がこのような活動を実施するに至った経緯を振り返ってみたいと思います。

 「九条下町ツアー」の原点は「21世紀の九条を語る会」という活動で、昭和42年起工式まで済ませた阪神西大阪線延伸事業が、駅の位置や連絡通路の設置方法等で地元との調整がつかず、最終的に工事自体が中止になってしまったことに端を発しています。
 新駅計画地周辺は、もともと明治期には大阪府庁や市庁舎が置かれ、外国人居留地や花街もでき、いち早くガス灯がつき、市電が開通するなど、大阪近代文化の幕開けの地として発展してきた歴史があります。
 その後居留地が廃止され、府庁や市庁舎が現在の場所に移転し、大阪が戦後復興を図ってからも、まちなかを貫くようにできた商店街を中心に「西の心斎橋」と呼ばれるほどにぎわった姿が人々の記憶の中に残っていました。
 そこで、阪神西大阪線延伸事業が幻のものとなった後、地元小学校の同窓生らが古く良き時代を懐かしんでいたところ、「わがまちに活気を取り戻すには、幻の阪神延伸計画を復活させるのが一番」「何かできることからやってみよう!」と、九条世直しの気運を盛り上げ、これが昭和57年春に「21世紀の九条を語る会」の旗揚げにつながっていったのです。
「21世紀の九条を語る会」
署名活動用ポスター
 当初は21世紀の「憲法九条を語るのか?」と勘違いされたこともありましたが、駅の位置計画で利害の異なる東と西の商店街では、阪神延伸計画の話題は一種のタブーでもあったため、阪神問題を表面に出さずに、できるだけ多くの人々を巻き込んでまちの活性化について議論し合う場づくりが必要と考えたわけです。
 まずは地元のそば屋の二階を借り切って、当時ご活躍中の林家小染さんをお招きして「九条寄席」というイベントを開催しました。この企画は大盛況で、お年寄りから子供まで幅広い年齢層が100人も集まり、会員が50人に増えました。
 さらには「タイガース寄席」と銘打って、一同が集まってモニター画面で阪神・巨人戦を観戦しながら、巨人が攻撃する段になると阪神ファンの落語家が登場して小話を始めるというユニークなイベントを不定期で開催し、阪神タイガースを絆にした交流の輪を拡げていったわけです。
 こうして「21世紀の九条を語る会」では、それぞれが和気藹々とした雰囲気の中でまちの活性化に向けた意見を出し合い、祭りや勉強会等の開催を続け、昭和63年3月には「阪神電車西大阪線延伸工事再開の御願い」の署名活動を実施し、13,000名を超える名簿を阪神電車と大阪市に届けるに至りました。
 会の活動としては、ここまでを一区切りとして、その後しばらくは阪神タイガースと同様に眠れるトラ状態になっていたわけです。
◇「ドームのまち=九条」をめざせ!!
 いちびり精神から生まれた素顔の下町ツアー
 やがて「大阪ドーム(現:京セラドーム)」の建設が始まり、私は旅行社の添乗員をしていた経験から、まちの魅力をPRするマップを作成し、ドームを訪れる人に配布してまち探索を楽しんでもらっては?と提案し、製作に取り組みました。
 マップは平成9年3月ドームの開業に合わせて配布することになり、また同時期にマップ完成記念のツアーを実施することになりました。これが「九条下町ツアー」の原型になるわけですが、当時は「九条・川口歴史散歩」という歴史名所を訪ねて歩くだけの内容でした。そして4月からは、まちなか散策に加えて下町グルメを味わう「九条下町おもしろウオーク」を実施しました。実施したタイミングがよく、ドームに期待をかける地域ネタとしてマスコミにも大いに取り上げてもらいました。
 その後実施した「親子で楽しむ 大阪ドームのまち・九条下町おもしろツアー」は、平成10年3月大阪市が主催する「大阪魅力百科」の優秀賞を受賞しました。これらは、いわゆる大阪人らしい「いちびり精神」から生まれたもので、各所で評価してもらえることが喜びとなっています。
 平成13年と14年にはオランダから来た学生グループを案内しましたし、近年は大阪観光コンベンション協会とタイアップして、大阪を訪れる修学旅行生を案内しています。平成13年3月にはUSJがオープンし、これに合わせてツアーを実施したところ、申し込みが多すぎて対応しきれなかったということもありました。振り返ると年間15〜20回のツアーを実施し、4,000人を超える方々を案内したことになります。
 こういう活動が定着してくるとまちのイメージも変わるもので、かつては九条といえば「夜の街・花街」というイメージが強く、とりわけ若い女性にとっては九条に住んでいるとは言いにくかったものですが、いまでは「ドームのまち九条に住んでいます」と誇りを持って言えるようになったと喜ばれています。
平成9年に作成したおもしろマップ
※現在リニューアル作業中
◇継続は力なり! 趣味をまちおこしにつなげてみては?
 最初は妻と友人5人で始めたツアー活動ですが、まさに「継続は力なり」という言葉どおりで、とてもビジネスベースに乗るようなものではありませんが、ボランティアの皆さんの協力によって順調に実施しています。もちろん助成金も受けずに運営しています。
 参加者からは1,000円の参加費を徴収して、デパートの試食品コーナーを巡る感覚で下町グルメを少しずつ味わってもらうので、傷害保険も含めた各種実費が600円となります。残りが事務運営経費となるわけですが、それではなかなか賄いきれないので、私の自宅を事務所に開放して対応しています。
 私たちのツアーでは、いわゆる観光開発のようにつくりあげたものは何もなく、素顔の大阪を見てもらうことにこだわりを持っています。ツアーの最初に簡単な大阪弁講座を実施して、実際に市場のおじさん達との会話を体験してもらったりもします。下町だからこそ大阪弁が使えるものですからね。地元市場からもたくさんの人通りがあるだけで、活気があって元気が出ると好評です。
 毎回同じコースであっても、新たな出会いが楽しめるのがツアーの良さとも言えますね。
 現在私は大学教員となり、観光フィールドワークの一環としてもこのツアーを有意義に感じていますし、趣味の一環として、まちおこしにつなげているのが長続きの秘訣なのかとも思っています。
 ボランティアという言葉に甘えてはいけないのですが、スタッフは無償で活動しています。もとは、USJオープンに合わせてツアー紹介とともに募集の旨をマスコミに伝えたところ、新聞夕刊のトップに「大阪おじさん・おばちゃんガイド募集」という記事が掲載され、後日希望者80人を対象に講習会を実施しました。
 基本的に歴史を覚えるのが大変なのですが、まずは道案内から活動を始めようということでスタッフ用の虎の巻を用意して、徐々にステップアップをめざしてもらっています。
 年2回程度活動してもらえればよいことにして、現在でも12人のスタッフが頑張って活動されています。ガイドとして歩くことで健康づくりにも役だっているようですよ。
◇阪神なんば線への期待をこめて
 以前、新潟からの修学旅行生を案内した際に、まずはUSJに行ってから「九条下町ツアー」に参加し、行程としてはそこから一路京都に向かうとのことでした。しかし、ある生徒が「大阪に来たからには道頓堀を見たかった」とふともらした一言が心に残っています。
 阪神なんば線ができれば電車に乗ってすぐに難波に行けるので、大阪の下町に始まり華やかな町までを見ることのできるツアーも企画できそうですね。もちろん参加者からは九条以外のツアーも企画して欲しいという要望もありますし、参加者からの情報提供も大事にしています。
 ツアーでは阪神との縁を常に意識して、なんば線建設現場で「六甲おろし」を合唱しています。またドーム前では「オリックス・バファローズの球団歌」も合唱し、まちなかで歌うのが楽しいと好評を得ています。
 特に修学旅行などはハードを見るより、その地ならではの交流や体験を重視するものですから、道具屋筋や天神橋商店街等で丁稚体験したり、福島聖天の売れても占い商店街を体験したりといったツアーは人気が高いはずです。とりわけ元気なシニア層にとっては、ガイドとして活動できる機会にもなります。通常の家族旅行などでは得ることのできない体験を組み込んだツアーは、これから人気が高まるはずです。基本的にどこのまちでもできることなのです。
 現在は、各地でまち探索ツアーを計画したいという要望が多く、講師として招かれる機会が増えました。このような沿線各地で個性豊かなツアーが生まれれば、沿線を身近に感じる機会が増えるというものです。私案ですが、阪神なんば線が開通する前に線路やトンネル内を歩くミステリーツアーも実施してみたいですね。
 沿線では「姫路菓子博」があり、「平城遷都1300年記念事業」もあり、イベントと合わせてまち探索ツアーが実施されれば話題性もあるでしょうし、神戸中華街から鶴橋の韓国料理、さらに奈良の郷土食等につながるグルメツアーも企画できそうで、結構夢がひろがっていくはずですよ。
(2008.2.5)

 ○ 九条下町ツアー サイト
http://www1.ocn.ne.jp/~kujo/

 

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