西大阪線あこがれぷらっとホーム楽会 街と街、人と人、関西の未来にもつながる西大阪線
 
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この人に聞く あこがれぷらっとホーム楽会インタビュー
研究会では、様々な方面でご活躍の方々をゲストに招いて、沿線のまちづくりの夢を語りあっています。
ここでは、そんな研究会活動の一部をご紹介したいと思います。
vol.1
都市の地霊をよみとく
◇ノスタルジーと未来への希望をつなぐ西大阪線
 私は天草生まれですが、幼少の頃を布施や大阪の此花区四貫島で過ごしてきたこともあり、とりわけ此花や大正の工場街や港の風景にはノスタルジーを感じます。
 安治川トンネルや大正区の中山製鋼所などは、SF映画にも登場しそうな独特の雰囲気がありますからね。
 大阪の工業地帯はかつて「煙のまち」「東洋のマンチェスター」と呼ばれ、大阪の近代化を支えた反面、公害を引き起こす原因として嫌われてきた過去をもっています。しかしこれらの工場や倉庫も立派な都市遺産として活用していくべきなのだと思うのです。私たちは、あえてそんな空間をイメージしながら舞台セットに再現しているくらいですからね。
 また最近では、奈良の平城京跡というかつての都があった土地の魅力にとりつかれてしまい、ぜひともそこで近い将来、野外劇を上演したいという強い願いを持っているわけです。
 そういう意味でも、私にとっての西大阪線とは、少年時代の記憶とともに、これからの演劇活動に向けて奈良への熱い想いが通じる「希望の海の道」と言えるかもしれませんね。
松本雄吉さん(劇団維新派主宰)
南風
水街
◇大阪は豊穣なる創作活動の母胎である
 維新派は野外公演が多く、土地形状に合わせて映画のオープンセットのような劇場を団員自らが手づくりで組み上げるスタイルに特徴があると言われています。空堀に劇団拠点を置き、あくまでも大阪を地盤に大阪にこだわった作風を貫いています。私たちは「ジャンジャン☆オペラ」と名付けていますが、いわゆるノイズオペラと呼ばれるような大阪弁のイントネーションと言葉を駆使したスタイルですね。
 とりわけ「大阪三部作」と言われる「王國」「水街」「流星」は個人的な思い入れが深く、大阪の過去と現代をつなぐ物語としてつくってきたわけです。
 「王國」では、演劇を通じて大阪というまちの奥行きを探りたいと思い、まずは通天閣をターゲットに徹底的な調査を行いました。
 ここは無計画都市の究極の形というか、まちなみのディテールが目眩するほどすごいものがあります。まさに様々な人々の感性が混ざり合ってできた結果であり、感性は人知を超えるのだ!これこそが王國なんだ!と実感した結果、この作品につながりました。
 「水街」は、近年まで大正区に残っていた沖縄の集落(クブンガー)をイメージした作品です。大正区は沖縄から移り住んだ人が多く、現在では沖縄料理店が数多く建ち並び、独特の生活文化にふれることのできる場所として注目されていますが、そのような人々を受け入れてきた大阪のまちの懐の深さや風景の奥行きを表現したかった。
 本来大阪は、難波八十島の歴史からもわかるように、西に向かって開けていたまちで、無数にあった島をつなげて、島づたいに発展してきた姿がうかがわれます。
 そのような歴史があるから、戦後も他所から異文化を有する人々が移り住むことができたのでしょうね。
 大阪というまちは、真横に奈良という古代の都があり、北には千年の都・京都、南には熊野という神秘的な魅力をもつ和歌山につながっています。古代には、京都から淀川を下って辿り着いた中洲が大阪だったし、瀬戸内から島づたいに進んで辿り着くのが大阪だったわけですね。
 大阪の地名に「島」という文字がつく場所が多いことからもわかるように、大阪自体が群島のようであり、湾の上に蓮の葉のように島が浮いている姿がイメージされます。これはちょっとあやうげでもあり、またユニークなところでもあります。
遷都祭
◇いまの大阪に足りないもの
 私たちのものづくりのスタンスとは、土地それぞれに持っているドラマ性や地霊のようなものを立ち上がらせていくところにあると思っています。
 まだよく認識されていないところにも魅力的なものはきっとあるはずです。しかしきっかけがないと人は訪れないものですから、知られざる面白さのある土地を演劇という形で道案内するのが私たちの仕事だと思うのです。そんな風景の道案内人になりたいものです。某かの人の心を惹きつける風景があったり、濃い魅力を感じる地には、何の演出も必要ないから、野外公演ということになるわけです。
 しかし近年の大阪というまちは、レジャーやスポーツにはやさしい面がありますが、文化的なことや無目的なものにはあまり寛容ではないように感じます。近年のまちの変遷をみていても、空地が減ってきたなあ・・・と思うことがよくあります。
 現に私たちも舞台探しに苦労しているわけで、広々と空や夕陽を見ることができて、直火を使うのも許可してもらえるような魅力的な場所が本当に見つけにくくなりました。
もっと自由に利用できる空地をつくったり、空地のままで担保できるようなゆとりあるまちづくりの仕組みをつくっていただきたいものです。
 劇団では、かつてオーストリアのインスブルックにあるスキー滑降場で上演した経験もありますが、意外性のある空間で演じるのは楽しいものです。人は見えないものを見てしまうのが常というか、風景の中に劇場を夢想する生き物なのだな・・・と感じたりします。
 だから私たちは本来の社会的な公用性を打ち破って、意外性のある使い方をうったえていく。劇場というものは、そういうものでありたい。工事現場だって立派な舞台になりうるわけですしね。
ノスタルジア
◇若い才能を育てたい
 いまの大阪には、やや大阪色が足りないように感じています。とはいえ、表現者は必ずしも大阪人であることや大阪を舞台にした作品にこだわる必要はなく、大阪に似た土壌や風景、都市に対する感性や批判性を共有する人が自由に表現できる場にしていけばよいだけのことです。
 つまり場や風景をよみ、そこに徹底的にこだわりぬき、表現する人が必要だということですね。
 あとは大阪には劇団数が多いのに、創作活動のメッカといえる存在力のある場所がないことでしょうか。
 もっと若い才能を育てる場があり、彼らの可能性に期待できるようなまちにならないと、新たな活力のもとになる若い人も集まってこないはずです。

 そういう意味では、大阪市が2004年に開催した現代演劇祭などはよい事例になるでしょう。このイベントは、劇場が少ない大阪のまちに仮設で劇場を設けるとして、どんな場所でどんな劇場空間を展開できるかという提案をコンペ形式で募集したものでした。アイデア募集にあたっては、予算1千万円程度で、1週間程度で設置でき、使用後は1週間以内に撤去できるものという制約をつけましたが、応募多数で、斬新なアイデアに感心させられることが多くありました。例えば大阪市役所の前や大阪城の堀の石垣、御堂筋沿道のオフィスビルなども、都市の祝祭空間として活用の可能性がありそうです。
 今年は近代建築の活用提案コンペや、都心のオフィスを1日だけの劇場にするなど、見慣れた空間を非日常空間に変えてみる提案を公募したいと考えています。
 田舎にしても棚田を緑の舞台に見立てるなど、ある場所に対してこだわりをもち、それをどのように保存活用するかを考えるということは、既にひとつの劇場論や都市論を論じているようなものですから。
 そういう意味でも、私たちは今後の創作活動を通じて、独自の劇場論を世に問いかけ、その脈絡の中で理想のまちづくりについても語り、またまちを魅力的なものにするために何らかの貢献ができればよいな...と感じているわけです。
(2007.8.24)

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