

酒に肴は欠かせない。もともと、“酒菜”と書き、酒に添えるもの(菜)という意味だった。多分、昔々は、葉っぱものを片手に酒を飲むことが多かったのだろう。やがて、食文化の広がりから、さまざまなものが酒のアテとして加えられるようになった。だれが言い出しっぺか知らないが、「やっぱり、日本酒には魚介類が最高だよね」ということで、いつしか「肴=魚」というイメージができあがってしまったらしい。魚のことを“さかな”と呼ぶようになったのも、その頃のことだ(それまで、魚は“うお”と呼ばれていた)。
一口に肴といっても、いろんな種類がある。室町時代、足利将軍が大名家の屋敷を訪れることを“御成(おなり)”と言った。これは将軍のお目に留まることだから、大名にとって出世のチャンス!
酒の肴だって、高価な刀だったり、絹だったり、馬だったり……。いろんなものが酒とともに提供された。能や狂言が催されることも多く、これは“肴舞(さかなまい)”などと呼ばれたそうだ。とにかく、経費がかかるイベントだったので、中小・零歳の大名にとっては負担が重かったに違いない。
時代が下がって、平成の世。とあるアンケート調査によれば、「あなたにとって最高の酒の肴は?」という問いで一番多かったのは、「上司の悪口」だったそうだ。なるほど、いつも会社で威張っている上司の愚痴をこぼしながら、ぐいっと一杯引っかけて憂さ晴らし。室町時代の大名に比べると、ずいぶん安上がりで済みそうですね、これは。
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