

英語では、酔っぱらったことを「クリスマスツリーのように輝く」と言うそうだ。昔の人は酔えば酔うほどに、神の御心に近づけると考えていた。それほど、酒は神聖な飲み物だったのだ。酔っぱらいを大切にこそすれ、邪険に扱うなんてとんでもない。酔っぱらったご亭主がどれだけグチをこぼそうとも、「ああ、神様のご宣託なんだ」と大きな心で許してあげることが夫婦円満の秘訣。ま、本当は“山の神(奥サマ)”が一番恐ろしい、という説もあるけれど…。
酔っぱらいのことを“トラ”という。昔、わが国では酒のことを“ササ”と言った。笹に虎はつきもの(中国では竹林に虎が棲んでいた)、酒に酔っぱらいはつきもの、というわけで、酔っぱらいのことをトラと呼ぶようになったらしい。古い徳利などを見ると、笹に虎の絵が描かれていることがあるが、まさにこの故事にちなんだものだ。
「寅の時刻(午前4時〜6時頃)まで飲んでいるからね。酔いが回ると恐いものなしなんだ。だから、トラなのさ」と豪語する酔っぱらいがいた。いやいや、そうじゃない。「つい調子に乗って、はしご酒を重ねると懐はスッカラピン。お小遣いを取られちゃうから、トラって言うんだよ」。なるほど、誠に至言。くれぐれも、飲みすぎにはご注意あれ。
酔っ払って、「今、帰ったぞ」と威勢よく帰宅したのはいいけれど、「こんな時間まで、どこを飲み歩いていたの!」と奥サマに一喝。先ほどの勢いはどこへやら、虎どころか、ウサギみたいになって酔いが醒めてしまった…なんてことにならないように、ご用心。
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