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特集(2)わがまちの輝き見つけ隊 vol.26
 21世紀は「水の世紀」とも言われ、国内外で港や河川を貴重な資産として再認識し、水辺を活かした魅力づくりに取り組もうとする動きが活発になっています。
 かつて都市部における港や河川は、物流拠点や工場立地を支える水源としての役割が重視されてきたため、水辺は市民生活とは乖離された空間でありましたが、近年では身近な憩いの場として、また新たなくらしやビジネスを生みだす場として再認識される傾向にあります。
 そして阪神地域の発展を支えた水辺をつなぐ路線である「阪神なんば線」沿線にも、数々の水辺再生プロジェクトが動き出しています。
 そこで今回は、以前にもご紹介した「尼崎21世紀の森づくり協議会」が取り組む運河を活用したイベント「うんぱく」の体験記をご紹介しましょう。
   
運河で遊ぼう、1日限りの文化祭「うんぱく2008」
 阪神工業地帯の核となる尼崎南部地域には、港や運河に面して多くの工場が操業し、市民には縁遠い存在でしたが、近年、運河を核としたまちづくりの機運が高まり、2007年4月には国土交通省の「運河の魅力再発見プロジェクト」の第1次認定を受けています。
 こういった取り組みを支えるのが、「尼崎21世紀の森構想」のもと、市民・企業・各種団体・学識者などあらゆる主体が協働と参画により尼崎臨海部の自然再生をめざす「尼崎21世紀の森づくり協議会」や、企業・市民・行政が連携した「運河の魅力再発見プロジェクト」を推進する「21世紀の尼崎運河再生協議会」なのです。
 今回参加した「うんぱく2008(尼崎運河博覧会)」は、「尼崎21世紀の森づくり協議会」と「NPO法人尼崎21世紀の森」が主催するもので、地元の学校や企業、まちづくり団体が協力して、「運河が持つ価値やすばらしさを徹底的に使いこなし、思い切り遊ぶ文化祭」として、昨年に引き続いて開催されたものです。
 運河沿いのライブステージや運河を巡るクルージングツアーの実施、水質改善に向けた実験的な取り組みの現場を見せる展示ブースや飲食ブースなどを設け、将来に向けて魅力的な運河のあり方を1日だけでも現してみようとする熱い想いに溢れたイベントでありました。

◇きょうは運河で何して遊ぶ?
 

 阪神電車を下車して国道43号を越えると、塀が張り巡らされた工場と大型トラックが行き交う風景が続き、つい目も心も閉ざしがちに歩く港湾エリアなのですが、今回は遠くから聞こえてくる軽快なブラスバンドの音色に不思議と足取りも軽く、会場に辿り着きました。
 北堀運河沿いのデッキにはいくつものテントが並び、楽器演奏やアカペラライブに聞き入る人々や散策を楽しむ人でにぎわい、クルージングツアーの乗船を待つ行列も長々と続いていました。
 そう、今日は特別な1日だから。工場地帯に来て、忙しく周囲を眺めながら、「さて今日は何をして遊ぼうか?」と高揚する気分を味わえるなんて、めったにあるわけじゃなし...
 まずは人気のクルージングの整理券を手に入れないと、乗れないかも?と気が焦り、慌てて順番待ちの列に加わりました。1時間近く待ってようやく整理券を手に入れ、船の到着を待ちます。

◇工都を巡る運河クルージング
 

 今回の船遊びイベントとしては、「Eボートによる船遊び」と「運河クルージング」が実施されていました。「Eボート」は、摂南大学生の指導により全員でタイミングを合わせて漕いでいくもので、陸上では万一の落水に備えて、NPO法人大阪ライフセービングクラブのメンバーが見守ってくれるという安全対策も万全なものでした。
 私達が乗り込んだのは住友金属工業所有の「環丸(たまきまる)」という大人6人乗りの小型船で、尼崎南部再生研究室のスタッフがガイドを務める約30分の楽ちんクルーズツアーでした。
 ツアーでは、北堀運河・蓬川・旧左門殿川沿いに立地するいくつもの工場や国内最大級の尼崎閘門(通称:尼ロック)を眺め、土木構造物のダイナミズムに圧倒されたり、昔懐かしいノコギリ屋根の工場や先進設備を誇る工場の姿に感心したりしながら有意義な時間を過ごすことができました。
 説明によると、かつてこの地には東洋一の発電所があり、日本最初の板ガラスが製造された工場や国内有数のチタン製造工場、世界のプラズマディスプレイの6割を生産する企業の新工場や都市型物流拠点が立地するなど、工都としての歴史に加え、今日でも存分に実力を発揮するエリアであることがわかりました。
 沿岸部の企業による環境への取り組みも活発になされ、河川への油流出対策協議会による訓練や流域清掃活動等が展開されているようです。
 その一方で、火災後に工場が廃墟として取り残され、図らずも雑木等の自然が浸食している箇所も見られ、工場地帯の再生も新たなまちづくり課題のひとつになりそうだと再認識したしだいです。
 子供にとっては、水面を何匹もの鯔(ぼら)が飛び跳ねる姿が興味深かったようで、何度も元気な歓声が上がっていました。

◇めざせ日本の環境首都!
 

 かつての阪神工業地帯といえば、空は煤煙で霞み、水面には黒々としたヘドロが澱んでいるばかりというイメージを描きがちですが、産業構造改革や環境対策が進んだことで、大気汚染は気にならず、また魚や貝類が生息していることに感動さえするくらいでした。
 会場にはエコタウンブースもあり、地元企業による環境に配慮した製品や取り組みが紹介され、環境技術の先進地をめざそうとする意気込みも感じられるほどでした。
 エコタウンブース近辺の運河は、環境浄化対策の実験区として水質浄化水路や高速濾過実証プラントのほか、水中に棚のような設備が組まれ、水辺に生息する植物が育成され、自然浄化の様子をモニタリングされているのだとか。
 このような技術面の努力と、環境浄化や保護に対する人々の理解が進み、運河が生まれ変われば、まちもくらしももっと豊かに楽しめるようになるはずですね。
 また、今回のイベントに尽力されたスタッフの方々にお聞きしたところ、水辺のイベント活用に向けては、県立尼崎高校が総合学習授業の一環として取り上げ、生徒達がライブの企画段階から参加して実現されたとのことでした。また阪神間の大学生アカペラサークルによるライブも好評で、「ここをアカペラのメッカにしたい!」といった運営スタッフの感想も寄せられているとか。地域ぐるみの環境活動とアートを楽しむ精神が、がっちりタッグを組んでいたわけですね。
 特別な1日を楽しむ「うんぱく」が、当たり前の毎日になるのも、そう遠くないことのように思えてきました。
   
<ちょっと豆知識>

21世紀の尼崎運河再生プロジェクト基本計画とは?
 21世紀の尼崎運河再生協議会(事務局・県尼崎港管理事務所)では、尼崎運河再生プロジェクト基本計画として、つぎのような施設整備方針・利用方針がとりまとめられ、市民・行政・企業それぞれの役割が例示されています。
 ・水上ボートで運河を移動できるよう運河沿いに船着き場を設置
 ・桜並木や松並木の散策路やジョギングコースの整備
 ・親水デッキ、展望デッキ、市民花壇の整備
 ・企業PR(アド)スポットの整備
 ・水上コンサートなどのイベントを一年を通じて開くことや、
  運河沿いをライトアップして印象的な風景を演出する


尼崎市が健闘中の「日本の環境首都コンテスト」
 日本に持続可能な地域社会としての「環境首都」を誕生させることを最大の目標として2001年より行っている「日本の環境コンテスト」では、全国11のNGOからなる全国ネットワークをもとにコンテスト形式で、自治体の全施策に対する環境施策の調査を行い、その結果を集計し、ポイントの高い自治体を表彰するしくみです。第6回コンテスト総合順位では、参加した74自治体中、尼崎市が第9位を獲得しています。

 ○ 日本の環境首都コンテスト(NPO法人環境市民公式サイト)
http://www.kankyoshimin.org/jp/mission/ecocity/ecocap/index.html

   
<トクトク情報>

エコを体感しよう!阪神間の水辺再生プロジェクト
 阪神間では、美しい水辺環境づくりに向けたユニークな取り組みが進んでいます。
「兵庫運河を美しくする会」では、運河で真珠の養殖やみなとウォーク等の活動を推進し、都市において魚や貝類等の様々な水中生物を観察できる水族館のような環境の維持に尽力されています。
 神戸空港島ではアカウミガメの放流・保護に取り組み、「ウミガメ・エコツーリズム」と題した1日限りの観察会が実施されました。
 阪神間の水辺をつなぐ路線だからこそ、エコをテーマにしたイベントや取り組みを体験する貴重な機会が楽しめるというわけですね。

 ○ 兵庫運河を美しくする会公式サイト
http://www.hyougounga.jp/event.html
 ○ 神戸空港島のウミガメ・エコツーリズム
http://kouhou.city.kobe.jp/information/2008/09/20080912kb01.pdf

   

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