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本来、アート活動とは、美術館や劇場、ホール等の専用空間で実施されることが多かったものですが、近年は発想を変えて、野外やまちなかで表現される機会が増えつつあります。
これにより、アーティストはより創造の可能性を拡げることができ、またアート活動に馴染みのない人でも身近にアートに接することができ、楽しい時間を共有することができるという機会につながっています。
つまり、アートでまちを元気にしようとする活動とは、アートを媒介として人と人のコミュニケーションを育んだり、新たなまちの魅力を発見したりする効果に期待するものであるといえましょう。
今回は、『神戸ビエンナーレ2007』と会期に併せて実施された『アートツーリズム・ワークショップ:神戸観考』のレポートをお伝えします。 |
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◇港・神戸に多彩なアートが集結
「出合い〜人・まち・芸術」をテーマに開催された『神戸ビエンナーレ2007』は、メイン会場となるメリケンパーク以外にも、様々な施設やまちなかの空間を活用して展開されたものです。
2007年10月6日(土)〜11月25日(日)の会期中のメイン会場総入場者は14万4000人と公表され、大いににぎわったことがうかがえます。 そもそも「ビエンナーレ(biennale)」とは、イタリア語で「2年に一度開かれる」祭典や行事という意味を持つそうです。『ヴェネツィア・ビエンナーレ』が100年以上の歴史をもつ世界中で知られる美術展覧会であることから、「ビエンナーレ」という言葉自体が大きな美術展覧会の名称として定着するようになりました。
『神戸ビエンナーレ』は今年が第1回目の開催で、1995年に発生した阪神・淡路大震災が契機となったそうです。被災後、著名なアーティストらがチャリティーイベントを開催するなど、芸術文化が市民を勇気づけてくれたことから、市民の心の糧となる芸術文化をまちづくりの柱に据えようという機運につながったとのことです。この想いは、2004年12月4日に宣言された「神戸文化創生都市宣言」に記されています。
震災以前の歴史を紐解いても、神戸のまちは地理的・歴史的条件により、古くから陸海の交通の要衝として栄え、異文化交流の先端の地として、多様な芸術文化の流入を体験し、これらを根付かせつつ発展してきたわけです。
海と山に挟まれて東西にのびた地形、北野町・トアウエスト・南京町(中華街)・元町(旧居留地)・高架下・メリケンパーク等々、世界から観光客が訪れるハイカラなまちのイメージが定着している神戸。
日本を代表するファッション関連企業が立地することで「ファッション・タウン」を標榜し、国際的に活躍する様々な分野のアーティストをも数多く輩出してきたまちが神戸なのです。
ところが、三宮や元町といった中心地区には現代美術を紹介する美術館やメイン会場となる施設がなく、一見不利に見える芸術環境の不足をポジティブに捉えなおし、海と山が近くコンパクトな都市規模をフィールドに、既存の文化装置にとらわれない表現の可能性を模索しようとしたのが『神戸ビエンナーレ』なのだそうです。
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◇宝箱を開けるワクワク感とともに・・・
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『神戸ビエンナーレ』の特徴は、招待作家の新作等を展示するだけでなく、コンペティション(賞選考形式)を取り入れた点にあります。
メイン会場となるメリケンパークには、港町の発展を象徴する45個の輸送用コンテナ(全長12mに及ぶ)が並び、それぞれが様々なアートの展示スペースとなりました。
展示されたジャンルとしても、絵画・写真・書、造形、CG映像、陶芸、ロボット・アート等々多岐にわたり、ひとつひとつ不思議の宝箱を開けながら巡るような体験に、多くの人が胸をときめかせたことでしょう。他にもメイン会場では、コンテナの間に様々な屋外展示がなされ、「大道芸コンペティション」や「アートフリーマーケット」、飲食屋台などが展開されていました。
さらには、港を背景にした「ステージゾーン」では、建設現場の足場として使用する鋼管を美しく組み立てたステージが用意され、それ自体もアート作品なのですが、ここで様々なコンサートが実施され、とりわけ暮れていく海を背景に開催されたジャズコンサートは、港町神戸らしい印象的なイベントでした。 |

◇メイン会場以外にもまちなかで様々な催しを実施
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メイン会場以外では、「ホテルオークラ神戸」のチャペルコンサート、「神戸海洋博物館カワサキワールド」における映像ライブアートやフォーラム、大学の協力によるワークショップ、「フィッシュダンス音楽練習場」での創作おもちゃ展やモバイルプラネタリウム、「クラウンプラザ神戸」におけるヘアアートコレクション、まちなかの商店街におけるオブジェ展などが開催され、有料無料取り混ぜ、幅広い世代がそれぞれの興味に合わせて楽しめるシカケが盛りだくさんにありました。
とりわけ印象的であったのは、メリケンパークの片隅にひっそりと保存されている震災によって被災した街灯や桟橋で、「これも自然が拵えたアートのひとつだったのだな・・・」と感慨深い想いに満たされた一日でした。 |
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◇祭典を支える市民パワー
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『神戸ビエンナーレ2007』は、行政、アーティスト、企業をはじめ多くの市民ボランティアによって組織委員会が結成され、実現されたものです。
事務局の方にお話をうかがったところ、「このように幅広いジャンルのイベントによって、日頃アートに興味のない人も楽しさや親しみを抱くきっかけにしてほしい。港の環境全体が、非日常的なアート空間となり、訪れる人の楽しさや発見が連鎖して、まちを元気にしていってほしいものです」とのこと。
とくに子ども達の参加を奨励するため、高校生以下の入場を無料としたところもよく配慮されており、プロではない子ども達や障害を持つ人の作品展、「ユニバーサルデザイン」をテーマに考える機会などが組み込まれており、アートの奥行きの深さを知るよい機会にもなりました。 |
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次回の開催は2年後とのこと、また神戸のまちの楽しみ方が増えました。
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