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「特集テーマ」では、沿線のまちの意外なつながりにまつわるお話を中心に、連載コラム形式でご紹介していきます。
沿線のまちで発見した酒に合うグルメや酒を楽しむスポット情報など盛りだくさんに取り上げてみたいと思います。

特集テーマ: お酒が醸す素晴らしき沿線文化

 西大阪延伸線でつながる沿線のまちには日本有数の酒蔵があり、酒造と人の営みにまつわる歴史の奥深さを感じさせてくれるエリアでもあります。そこで今回は、清酒発祥の地奈良を舞台に、様々な名所を訪ね、心も体も癒される新企画バスツアーの参加体験記をご紹介しましょう。

   
日本酒の原点を訪ねて(その1.正暦寺から大和野菜レストラン編)

 今回は、奈良交通の企画バスツアーに便乗しての取材ということで、午前9時前に近鉄奈良駅前からバスに乗り込み、バスガイドさんの楽しいお話に耳を傾けながら正暦寺をめざしました。
 正暦寺は、奈良と天理の間の山あいに位置する奈良市菩提山町にある真言宗の本山で、正式には菩提山龍華寿院と称され、正暦3年(992)に一条天皇の発願により、関白九条兼家の子兼俊が創建した寺ということです。
 かつては伽藍が並び建つ大寺だったそうですが、時代の流れとともに変化し、今は本堂、鐘楼、福寿院を残すのみの侘びたたたずまいが、かえって山里の寺らしい雰囲気を醸し出していました。
 このあたりは、「錦の里」と呼ばれ、秋には紅葉の名所として知られています。私たちが訪れたのは早春の時期でしたが、凛と澄み切った空気が非常にさわやかであり、また境内を流れる菩提仙川の渓流の音も心地よく、まさに心洗われる景色とはこのことかと感じ入ってしまいました。
 この菩提仙川の清流の清水を用いて、日本で初めて清酒が醸造されたという伝承があり、川のそばには「日本清酒発祥之地」の碑が建っていました。

  正暦寺では住職の大原弘信氏に迎えていただき、寺の歴史や周辺の自然の見所などの説明を受け、お堂の特別拝観をさせていただいた後、場所を移して瞑想の指導を受けることになりました。
 野鳥の囀りと木々の枝葉がそよぐ音以外に聞こえるものもない静寂に包まれて、穏やかな住職の声を聞きながら瞑想座禅に欠かすことのできない基本的な姿勢や呼吸法を教わりました。約1時間程度の指導を受けると、体内を巡る血も浄化されたように感じ、さわやかな気分で寺を後にすることができました。
 ちなみに「めいそうの会」は、毎月第1日曜日(1月、11月は無し)の14時〜17時に実施されているもので、全国各地から訪れる人が後を絶たないとのことです。

  その後さらに弘仁寺を訪ね、弘法大師作と伝えられるご本尊の前で法話を拝聴した後、大和野菜づくしの自然食レストラン「清澄の里・粟」に向かいました。
 奈良市高樋町は、奈良市内からさほど遠くない位置にありながら、豊かな里山となだらかな棚田や畑が連なる、まさに日本の原風景と呼べるような場所であり、いにしえの万葉歌人達が「水清き清澄の里」と詠い讃えてきたこともうなづけるものでした。この地も菩提山川を源流とし、ミネラル豊富な良質の水と土が様々な自然の恵みを育んできたとのことです。
 ここでは、近年、大和伝統野菜の研究がさかんで、地元の食文化を貴重な文化遺産として次世代に継承していくことをめざした様々な取り組みがなされ、もはや「清澄の里」とは、単なる地名を示すだけでなく、そのような地域文化の再興・継承をめざす人々とその営みまでも含めた総称となっているようです。

  そしてその代表的な存在であるレストラン「粟」は小高い丘の上にあるログハウスで、曲がりくねった小道を上っていくと、温かな笑顔の田んぼの神様が出迎えてくれます。周辺の田畑では、年間を通じて約100種類もの大和野菜を中心とした作物が栽培されているそうです。
 1日約20名が定員で、完全予約制というお店のなかには、木のぬくもりと温かな陽光にあふれ、テーブルには既に用意された色とりどりの昼食の膳が一際目を惹き、あちこちで小さな歓声があがっていました。
 まずは小さな切子ガラスの杯に入ったブルーベリージュースを味わい、その濃厚さに驚いている間に次から次へと珍しいお料理が運ばれてきました。
 鮮やかな紅色をした大根やオレンジ色の蕪、濃緑の葉物、おもちゃかと見まがうほどのかわいらしい豆類、ぷちぷちと香ばしい雑穀類、ほくほくとした紫芋、みずみずしい牛蒡などが、揚げ物、煮物、焼き物、汁物、漬け物、菓子となり、じっくり愛で、惜しみながら味わいつくしました。
 素晴らしいスローフードに満足した後は、ログハウスに隣接するヤギ小屋を眺め、数日前に生まれたばかりという四匹の子ヤギに競ってエサを与えたりして、大人も素の自分に戻って楽しんだひとときでした。(バスツアー報告は、その3.帯解寺から豊澤酒造見学編に続きます)


◇正暦寺公式ホームページ
http://www.asahi-net.or.jp/~id9s-mti/shouryakuji/

◇清澄の里ホームページ
http://www.kiyosumi.jp/


トクトク情報
大和の伝統野菜を味わおう

  スローフード運動の流れにのって「京野菜」「加賀野菜」「なにわ野菜」等をはじめとして各地で伝統野菜・伝承野菜を継承していこうとする動きが盛んになりつつあります。
 「大和野菜」とは奈良県内の伝統野菜を意味し、その数 約30種類ほどあると言われていますが、奈良県として大和野菜を指定したのは2005年11月になってからのことだそうです。
 これには、大和野菜が市場にほとんど出回ることなく、主として自給用につくられていたからと言われており、料亭などに出回る高級ブランド野菜としてつくられていなかったという理由があるようです。
 清澄の里では、そのような大和野菜の研究に取り組み、2001年にはレストラン「粟」をオープンさせ、2005年には県の支援を受けてNPO法人「清澄の村」を設立し、地域で支え合うコミュニティビジネスの発想で、地元のお年寄りの知識や経験を生かしながら大和野菜の普及や農村の食文化をひとつのブランドに高める活動に努めておられます。
 「粟」の店内には、日本や世界各国でとれた約130種もの在来種の野菜の種を保管するビンがあり、メンバー同志で交換しつつ研究栽培に取り組んでおられるのだそうです。
 「粟」では、スタッフの方が食事前に大和野菜についてレクチャーをしてくださいます。静かな農村レストランで、おいしくて美容や健康にもよいお野菜を、美酒とともに味わってみませんか。

◇大和伝統地場野菜の紹介ページ
http://www010.upp.so-net.ne.jp/tentuku/vegetable.htm
全国伝統野菜ネットワーク 
http://www.dentouyasai.net/


瞑想の効用を見直そう

 最近、とある旅行企画に携わる方に聞いた話によると、一般的な遊興娯楽ツアーでは物足りないと感じる人が増え、「滝に打たれて修行したい!」「秘境を訪ねたい」といったいわゆる苦行的な要素が組み込まれたツアーを希望する方も増えてきたとか。
 東洋で実践されてきた瞑想も学術研究が進み、脳波・自律神経・内分泌を整える効果に注目され、欧米では医療現場で広く用いられるようになっているそうです。
 さらには、ゆったりと呼吸しつつ瞑想することで、自己の洞察力を鍛え、心の平安をえることができることから、芸能人やビジネスエグゼクティブにも注目されているそうです。


山里にひっそりとたたずむ正暦寺


菩提山川の清らかな流れを目に
しつつ山道を辿る

 

錦の里と誉れ高い正暦寺


「めいそうの会」が催されるお堂


レストラン粟の目印となる里山の神様


粟のお料理の数々


今年生まれた子ヤギたち


粟の店内は、自然食や大和野菜に関するギャラリーも兼ねる


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