
店頭に並ぶ酒の約99%が全国各地の地酒(地方銘酒)のみと、地酒の品揃えに定評のある山中酒の店が直営するお店「さかふね」は、知る人ぞ知るの穴場スポットです。入り組んだまちなかの通り沿いに、 ぽつんと見える杉玉を目印に探さないとわからないという隠れ家的なロケーションも魅力のひとつです。
そこで今回は、3月21日の「さかふね」リニューアルオープンに併せて開催された『呉ひとしハートライトコンサート』に行ってきました。

昭和63年から開業された酒房「さかふね」は、ここ近年は変則的な形で営業が続けられてきたのですが、今年に入って思い切ってエントランス、フロア、厨房、トイレに至るまですべて改良工事が施され、モダンな和の魅力を醸し出す空間に生まれ変わりました。
これまでも酒蔵風のこじんまりと落ち着いた空間を活かしてライブコンサートなどが催され、旬の食材を使ったおいしい料理とメニュー数豊富な各地の地酒をあれこれ味わいながら、心地よい一時を過ごすことのできるお店でした。
今回はさらにお店のライティングにも凝られ、天井やトイレには着物を使った装飾もあり、色気を感じる魅力的な空間に変身していました。
どっしりした丸い木のスツールに腰掛け、数多い地酒メニューのなかからどれにしようか迷いながら時間を過ごしていると、店の奥のステージにアコースティックギターを手にした大柄な呉さんがあらわれ、コンサート第1部の幕開けとなりました。
呉ひとしさんは大阪生まれのミュージシャンで、77年よりフォークデュオとして活動されていました。よみうり音楽祭では自作曲「LOVELY
YOU」で作詞賞を受賞され、84年よりソロ活動を展開し、数々の自作曲が関西のラジオやテレビ番組主題歌としてオンエアされてきたとのことです。
また、神戸メリケンミュージックフェスティバルのテーマ曲、地球サミット(京都会議)が支援する一般市民参加型のたすきリレー・イベント『Run For The
Future』のテーマ曲なども歌われ、「アースディコンサート」や京都・西本願寺の世界文化遺産登録記念事業、蓮如上人500回忌オープニングイベントのメインソングを演奏されるなどの実力派で、環境等をテーマにした社会的な活動にも強い関心を持たれている方なのです。
客席の照明が消えて、呉さんにスポットが当たり、ハスキーな声で1曲目のバラードが歌い出されると、その声量の豊かさとメロディーラインの心地よさに、酒を飲むのも忘れてぐいぐいと引き込まれていくようでした。
多くのお客さんも、心なしか前のめりになって呉さんの歌声に聞き入っている様子で、
8曲のバラードとラブソングを中心とした第1部コンサートはあっという間に終わりを迎えました。妻や恋人への感謝をこめた曲や、路上生活者への応援歌など、どの曲も人に対する温かなまなざしの感じられる歌詞が味わい深く、心に染みました。
その後しばらくの休憩に入り、第2部は女性ボーカリストの山本あおいさんをゲストに招いて再びコンサートが始められました。呉さんの歌声に山本さんの歌声とギターやピアノの音色が重なると、1部とはまたちがった豪華な雰囲気が醸し出されました。
また曲の合間の二人の会話も楽しく、「ちょっと燃料を入れます!」とビールを手にして一息に飲み干し、途中から客席も一緒になって歌うという盛り上げ方もなかなか上手で、最後はギターの弦を切るほどの熱い演奏がなされました。
最後に呉さん達と少し話す機会があり、色々とお尋ねしてみました。
「ハートライトコンサートは、毎月第1土曜日に開催しているもので、ノーチャージ・カンパ制です。出口付近に壺を用意していますので、カンパにご協力いただければ、ライブのシメにおいしいお酒が楽しめて有り難いですね。ここでライブをして今年で15年目になります。毎回第2部は友人をゲストに招いてセッションします。この場所は、ライブハウスとは違う独特の雰囲気が気に入ってます。おいしいお酒と料理があるから、演奏する側もやりやすいんですよ」と呉さん。
お店には呉さんのファンの方も多く、夜更けまで楽しい会話が続いていました。
まさに「佳酒真楽」の言葉通り、とことん酒に惚れ込んだ人々が創り出す、素晴らしい空間のパワーに酔いしれた春の一夜でした。

■佳酒真楽 さかふね
大阪市浪速区元町3-12-9 tel.06-6649-3659
OPEN 17:00-23:00(L.O.22:00) 日曜・祝日定休
■地酒専門店 山中酒の店
大阪市浪速区敷津西1-10-19 http://www.yamanaka-sake.jp/
tel.06-6631-3959
個性豊かな「さかふね」イベント
「さかふね」では、毎月第1土曜日に開催される呉さんのライブのほかにも、ジャズ ライブ、日本酒教室、蔵元を囲む会等々の様々なイベントが企画されています。詳しく は、お店のホームページをご覧下さい。
また、農村体験等の交流ツアーも企画されているそうで、酒が生まれる環境や地域 文化にも想いを馳せるよい機会になるはずです。 |
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