
(財)白鹿記念酒造博物館は、今から25年前に創業320年を記念してつくられたもので、阪神間には同様のミュージアムや資料館は数多くあるなかでも、財団法人が運営する文化事業としてはかなり珍しい事例として注目されています。
ここでは白鹿のオーナー辰馬家15代にわたる美術工芸のコレクション展示のほか、長く伝統のある酒造りの歴史や技術に関する情報発信を行い、毎年地域の学校等の社会見学の機会としてもよく利用されているだけでなく、観光客を含めて年間2万人を超える来場者でにぎわうスポットとなっています。
しかし残念ながら1995年に発生した阪神・淡路大震災では、煉瓦造りの「酒蔵館」をはじめとする文化的な資産の数々が被災し、現在では新たな「酒蔵館」のなかに震災の記憶を残す展示スペースが設けられ、未曾有の都市災害の記憶とともに貴重な防災教育の現場としても意義のあるものとして活用されています。
館長補佐の松田さんにお話をうかがったところ、阪神大震災だけでなく灘五郷で酒造業が始まってからの歴史の中では、度々大火や戦火、災害の影響を受け、隆盛期に数百棟もあった酒蔵が、かなり消失してしまったとのことです。
今日も維持されている「酒蔵館」は重ね蔵づくりという珍しい様式で、木造蔵は音響効果も良好であるため、コンサートや能などのイベントにも活用されているほか、館内のホールは展覧会等の地域イベントに利用されて好評を得ているそうです。
「当社では『酒はつくるものではなく、育てるもの』と意識しています。これは地域文化にも同じことが言えますから、地域学習や文化の拠点としても親しまれるものにしていきたいですね」と松田さん。
酒蔵で酒を醸すように、地域の歴史や文化を薫り高く熟成するために貢献されている姿がよくうかがえるスポットでありました。
白鹿の文化事業について
http://www.hakushika.co.jp/museum/
問合せ先:
西宮市鞍掛町8‐21 白鹿記念酒造博物館
tel 0798‐33‐0008(代表)
※火曜日休館。博物館への入館は10:00〜16:30まで |