
前回は、近鉄沿線の恒例イベント「酒蔵みてある記」奈良橿原編をご紹介しましたが、今回は同じく奈良で開催された「天理北部の史跡と稲田酒造」のコースをご紹介しましょう。

1月下旬とは思えない暖かさのなかですが、そこは自然に恵まれた奈良の地。大阪や神戸方面からの参加者には、やはり足元から冷える寒さがありました。9時半を過ぎると参加者の姿がちらほらし始め、10時を過ぎるとにわかに天理駅の駅前広場が賑わい始めました。気の合う仲間同士、いつもの顔ぶれがそろうと、名所めぐりがスタート。天理駅から商業地、住宅地を抜けて進みます。在原神社や岩屋大塚古墳あたりで、およそ1時間。やがて、木々に囲まれた石上神宮へとたどり着きます。
先回りして稲田酒造さんに出向くと、ちょうど参加者を迎える準備が進んでいました。抽選会の賞品を並べたり、最近では商店街の名物ともなっている自家製の奈良漬けも並べられ、利き酒コーナーの準備も万全です。
「今、先頭の皆さんが、石上さんを出られたそうですよ」という案内が届くと、稲田酒造さんのスタッフが、いよいよ参加者を迎える準備の仕上げに入りました。「あとどのくらいですか?」と尋ねると、「そうだね、20分から30分くらいかなあ」と。店の向かいの空き地を利用して、振る舞うための甘酒の鍋からも湯気が立ち上り、ほのかに甘くいい香りがあたりに漂い始めました。
その甘く誘う香りに、ショッピング途中の人々もちょっと一服。参加者のみならず、商店街を行きかう人々にも、甘酒は振舞われていました。「当店は、天理の皆様に長い間親しまれてここまでやってきました。天理の稲田、稲田は天理という思いは、これからもずっとかわることはありません」と、専務の稲田光守さん。日ごろ大切に思ってくれる人々への感謝の意を込めて、今回、初めてこのイベントに参加されたそうです。
抽選会を待つ列が、商店街をふさいでしまった。「みなさん、横に並んでください」という声が商店街に響いていた。 |
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さて、30分たってもまだ参加者が到着しないので、再度尋ねると、天理教教会本部でゆっくりされていた様子。予定時刻を遅れることおよそ40分。リュックを背負い、足取りも軽い先頭グループが到着。甘酒をいただき、抽選を待つ列が商店街の通りをふさいでしまいました。 |

抽選会を終えると、酒蔵見学、利き酒コーナーへと足を進めます。やはりこの時期は、加熱や殺菌処理をしていない原酒に人気が集中します。「稲天のしぼりたて原酒」をこっそり、2杯3杯と飲む、お酒好きの姿もちらりほらりと見受けられました。
利き酒でほろ酔い気分の参加者が、店頭で真っ先に手にしたのが、自家製の奈良漬の試食。口にした誰もが、「おいしい」と思えるその味わいは、本物の稲天の酒かすのみを使い、天理の風土が醸した本物の味。一度食べたら癖になるおいしさと地元でも評判で、お酒の「稲天」に継ぐ天理名物になる日も近いのではないでしょうか?

酒どころに多い漬物の代表が奈良漬ではないでしょうか。神戸の灘では甲南漬として親しまれています。要するに、お酒をつくったあとの酒糟を使って野菜などを漬けたものと考えると、日本全国に同じような漬物が存在するのに、なんら不思議はありません。その歴史は古く、糟漬の表記で古くより文献にも表れています。延喜式目にも糟(滓)漬の名が出ていますが、昨今の研究では、すでに奈良時代にもあったといわれ始めています。さらに、明らかな証拠はありませんが、日本酒がつくられはじめた時期と同じころから存在するという説もあります。そうなると、今からおよそ1300年前になり、まさに歴史ロマンの真骨頂ともいえます。一般化したのは、酒づくりが急増した鎌倉・室町時代で、奈良漬と呼ばれるようになったのは、奈良の酒糟を使った粕漬の味がいいと評判になり、その後、奈良漬と呼ばれるようになったと言われています。
店頭に並べられている自家製の奈良漬。昔懐かしい量り売りされている。 |
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古事記などにもその存在が記されている、石上神宮の本殿と合格祈願を願う絵馬。 |

参加者や商店街を行きかう人々にも振舞われた手作りの甘酒。 |
稲天のしぼりたて原酒 |
笑顔を絶やさずにてきぱきと対応してくださった、専務の稲田光守さん |
歩いたあとのお酒は格別に美味しいと、杯が進む人も! |

稲田酒造では、酒糟のみで作り、伝統の味と香りを大切にした稲天奈良漬を製造販売しています。白瓜、きゅうり、すいか、守口大根などの詰め合わせも対応していますので、詳しくはフリーダイヤルでご確認ください。
電話 0120-1710-54(稲田酒造合名会社) |
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