
新年あけましておめでとうございます。本年も「西大阪線あこがれぷらっとホーム楽会」をどうぞご贔屓にお願いいたします。
子どもの頃は、正月と言えば凧揚げに羽根突き、独楽回しと季節感あふれる遊び方を楽しんでいたものですが、最近のまちなかでは子ども達がそんな遊びに興じる姿もめったに見かけることがなくなってしまいましたね。
正月三日の夜、「この頃は本当に正月らしい風景がなくなった……」とぼやきながら飲み処を探していたところ、「ホッピー・地酒・幻の酒焼酎ここにあり」という看板の横に「ベーゴマ」という文字を発見し、薄明かりに誘われてのれんをくぐりました。
その途端、目に飛び込んできたのは、樽らしきものに群がって跳躍する人、人、人!天井の低い、間口の狭い店内に据えられた樽風の立ち飲みテーブルと店の壁の隙間にも窮屈そうに背を屈めながら歓声をあげる人で大にぎわいの様子でした。
そんな人々が注視しているのは足元に置かれたキャンバス地張りの漬物樽で、中央では鈍い光を放つベーゴマが2つ盛んに競い合い、「カチーン、カチーン」という小気味良い音をたててぶつかっては双方をはじき出そうとしている様子でした。
やがて片方が勢いよく樽の土俵からはじき出されると、「よおし、やった!」「もうちょっとやったのに……」などという和やかな歓声が響き、また酒のグラスが重ね合わされるというにぎやかな雰囲気に一気に引き込まれてしまいました。ここでは誰もが大人の姿をして酒を酌み交わしているものの、同時に無心に遊びに興じる子どもでもあるようでした。
普通の独楽回しは子どもの頃に体験したことのある私ですが、ベーゴマは初体験のため、まずはお店のお勧めの地酒をいただきながら、あれこれと予備知識を仕入れることにしました。
聞くところによると、このお店は居酒屋でありながら、「大正ベーゴマくらぶ」の本拠地でもあるのだとか。ベーゴマは、大正から昭和の中期にかけて、日本の子どもたちの遊びに盛んに用いられたものですが、その始まりは平安朝の頃といわれ、バイ貝の殻に砂や粘土を詰めてひもで回したといわれています。この遊びが関東に伝わってから「バイゴマ」がなまって「ベーゴマ」になったようですが、今でも関西では「バイ」または「バイゴマ」と呼んでいるそうです。
鉄製のベーゴマは、明治の末から大正中期にかけて作られ、東京の下町の子ども達の間で大流行したものの、時代の流れにより鋳物工場も減少し、今では日本に一軒だけ残った製造工場でベーゴマが作られているということです。
小さな円錐形のベーゴマには、一般的な独楽のように紐を巻き付けるための芯もなく、上手に巻くためにはかなりの練習を要するとのことです。まず準備として、ベーゴマの本体に堅くひもを巻き付け、樽に向かって水平に構え、手のひらを下に向けて勢いよくコマを投げ出すと共に、腕のしなりを使って一気に紐を引くというのが基本的な投げ方です。
このお店のルールは、樽の上で数人が同時に(このタイミングを合わせるのも難しい)ベーゴマを回し、相手のコマを弾いて最後まで回転し続けたベーゴマを回した人が、競い合った人のベーゴマをもらえるという本気勝負(喧嘩独楽)とのこと。そこで、みなさん自分のコマを削ったり、マニキュアで美しくペイントするなどカスタマイズして挑まれています。
「上手になるコツは?」と聞くと、「う〜ん、やっぱりちょっと酒を飲んでから回すことかな……」と。

お店には、近畿の地酒のほかに各地の焼酎(幻の酒と呼ばれるものもあり)、ホッピーなどが用意されており、酒を飲みかつ勝負の行方に心躍らせ、独楽のコレクションを指さしつつ戦果を語り合っている人々の姿は、下町の新年の明るい気分にとてもよく似合うものでした。
ちなみに私も地酒で身体をほぐして何度か挑戦してみましたが、なかなか土俵にも乗らない状態でした。帰り際に2投ほど成功して、気分良くお店を後にすることができました。 立飲処「火の来間」は酒に酔い、童心に返って遊ぶことの心地よさを味わわせてくれる素敵な空間でありました。
★ぜひ皆様も、沿線の楽しい飲み処やグルメ情報をお寄せください。
立飲処「火の来間(ひのくるま)」
〒551-0002 大阪市大正区三軒家東1-4-15
TEL 090-5057-3639 営業時間17:30〜23:00
http://www.geocities.jp/hinokuruma_s/

「大正ベーゴマくらぶ(TBC)」では、毎月第4日曜日の午後1時より大正橋公園で親子向けのベーゴマを楽しむイベントを実施されています。お店の人によると、どうやら大人よりも子どもの方がベーゴマが上達しやすいのだとか。
TBCは現在会員数100名程度で、幅広い年齢層で初心者の参加も歓迎されています。
年に数回大きなベーゴマイベントも開催されるそうですから、お店のホームページでチェックしてどうぞ。 |
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| 負けるとベーゴマを取られてしまう、喧嘩独楽。さて、どちらが勝つのやら! |

カスタマイズされたカラフルなベーゴマ。手を加えれば咥えるほど愛着がわく。 |
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| 真剣な眼差しの人々。ほろ酔い気分も負けた瞬間に酔いがさめるとか? |

ホッピーとは、元祖・ビアテイストの清涼飲料水であり、1948年東京赤坂で製造販売が開始されたそうです。ホッピーは日本人独自の酒文化ともいえ、「焼酎と割った飲料」のパイオニアとして半世紀近くも大衆に愛され続けています。
面白い企画では、東京の中央線と京王線の各駅停車全駅周辺の店を訪ね歩き、『中央線で行く東京横断ホッピーマラソン』大竹聡著(ミニコミ誌『酒とつまみ』発行人)といったものもまとめられています。
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