
日本には四季の変化があり、日本人は季節の風景や折々の行事を楽しみながら酒を飲むという習慣を身につけてきました。酒は人の気分を軽くして癒し、また明るく元気づけてくれる、まさに百薬の長です。
なかでも日本酒は、古来より美しい水とそこから育まれた麹米を使い、自然を生かした醸造技術によって造り出された伝統食品です。日本の風土を活かして、日本人が生みだしたものだからこそ、現代の人々にもやさしくなじみ、おいしく飲みながら健康長寿の源になったり、しっとりときめ細かな美肌をつくる効果も見直されているわけです。

振り返れば、ご存じの日本の神話にも、天照大神が閉じこもった天の岩戸の前で酒盛りをして岩戸を開けさせたとか、スサノオノミコトがヤマタノオロチを酒に酔わせて退治したという話があるくらい、日本人と酒とは深い関係にあるものなのです。
正月の屠蘇や御神酒しかり、三三九度で誓いの杯を交わす伝統行事も、日本酒でなくてはしっくりこないはずです。

ある人は、「いまの日本人には、日本が足りない!」と言います。でも、誇るべき日本らしさというものが、わからなくなっているのも現実です。それだけでなく、私達は日本中の様々なまちをみても「そのまちらしさ」を見つけることができなかったり「わがまちの魅力」をと問われて、すぐにはこたえられなかったりするわけです。

そこで私達は考えました。関西という地域文化のこと、そのなかにある沿線文化のことを、肩の力を抜いて気楽に見直したり考えることができたらいいかもしれないと…
そのような想いから、まずは酒というお題を片手に、沿線のまちや新たにつながろうとしているまちの魅力を見つける旅に出ることにしました。何と言っても、酒にはおいしいもの、楽しいことなどがつきものですからね…

関西には、奈良をその起源とする日本酒製造にまつわる物語や有数の蔵元がたくさんあります。近年では、日本酒の持つ保湿・美白・血行促進など様々な美容や健康に関する効果にも注目され、いくつかの蔵元では化粧品や日本酒由来のサプリメントづくりも始まっています。
また、蔵を活かしたレストランやミュージアム、雰囲気あるお店の話題にも事欠きません。さらには、いくつかの蔵元では、日本の酒の原点といわれる酒の復活に取り組む動きもみられます。
このように、日本酒のあるところには豊かな伝統が息づき、また伝統のチカラを見直しながら、新しい魅力に変えていこうとする活力が培われています。

2009年春、西大阪延伸線が開通することで、神戸から奈良までの魅力がつながれ、新たな物語が醸し出されます。
これから皆さんとご一緒に酒にまつわる歴史を辿り、そこに登場する場所を訪ね、酒やグルメ、行事、イベントなどの沿線情報を盛りだくさんにご紹介いたしますので、どうか道中おつきあいのほどよろしくお願いいたします。
2006年10月
西大阪線沿線まちづくり研究会
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